2018年6月に医療広告を規制する「医療広告ガイドライン」が改正されました。
「医療広告ガイドライン」が改正されたことにより、ウェブサイトも医療広告とみなされるようになりました。
「もしかして、整骨院や整体院のウェブサイトも該当するの?」と心配になった方もいるのではないでしょうか?
実際、不安を煽るような広告・業者も現れました。
具体的に
- 使っても良い表現
- 使ったらダメな表現
がどんな表現か、わかりずらいところがあります。
現時点で、分かっている範囲で、まとめてみました。
訂正箇所、補足箇所があれば指摘していただけると嬉しいです!
「医療広告ガイドライン」整骨院や整体院も対象???
結論からいうと、整骨院や整体院は、医療広告ガイドラインの対象ではありません。
整骨院や整体院の広告やウェブサイトは、医療広告ガイドラインの規制を受けません。
なぜ「医療広告ガイドライン」の対象ではないのか?
というと、整骨院や整体院のおこなう施術はあくまで「医療類似行為」に該当するからです。
医療広告ガイドラインの対象は「医業、歯科医業若しくは助産所の業務又は病院、診療所若しくは助産所」であり、医療行為をおこなう機関に関する広告です。
Q5-1 あん摩業、マッサージ業、はり業や柔道整復業又はそれらの施術所の広告も医療法の対象でしょうか。(P.1,2)
A5-1 医療法の対象ではありません。「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」又は「柔道整復師法」の関係法令及び関連通達が適用されます。引用:医療広告ガイドラインに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000371826.pdf
整骨院や整体院の広告やウェブサイトでは、どんなことに注意すべき?
整骨院や整体院の広告やウェブサイトでは、「医療ガイドライン」には該当しません。
該当しませんが、消費者の誤認を招くような表現は認められません。
誇大広告や虚偽広告などは表現できないということです。
整骨院や整体院の広告やウェブサイトでは、どんな法律が適用される?
- 「医師法」
- あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の「あはき法」
- 「景品表示法」
- 「医薬品医療機器等法(薬機法)」
が適用されます。
整骨院や整体院のホームページは広告とみなされる?
整骨院や整体院のホームページなどウェブサイトは厳密には、広告に該当しないようです。
ところが、整骨院や整体院がある地域の保健所などにより、若干の見解の相違があるようです。
詳しくは、最寄りの保健所などに確認されることをオススメします。
ということは、チラシや情報誌などでの広告の規制では上記のように禁止される表現がありますが、ウェブサイトは、まだ広告とみなされないということです。
整骨院・整体院の広告で使って良い表現
整骨院や整体院の広告では、スタッフの経歴や施術内容、効果や効能などの記載ができません。
また、医療行為を連想させるような表現もできません。
大げさな表現もダメです。
- 施術
- 改善
- 緩和させる
- 受付時間
- 休業
整骨院・整体院のウェブサイトで使って良い表現
整骨院や整体院のウェブサイトでは、スタッフの経歴や施術内容、効果や効能などの記載が可能です。
しかし医療行為を連想させるような表現はできません。
表現が大げさにならないように、注意が必要です。
整骨院・整体院の広告やウェブサイト使ってダメな表現
実は、整体院で患者という言葉を使うのはダメです。
お客さん、クライアント、ゲストでしたらオッケーです。
整骨院、接骨院では、患者という言葉を使うのはオッケーです。
- 治療
- 治る
「治療」や「治る」という表現は、医療行為を連想させるため表記できません。
- 診察
- 診療
「診療」や「診察時間」という表現に関しても、整骨院や整体院は医療行為ではないため、表記できません。
- 施術内容
整体院のウェブサイトにおいて、施術内容の掲載は認められません。
- 医薬品や医療機器と捉えられるような表現
- 医療機器の効能効果をうたう表現
整骨院や整体院で医療行為をおこなうことは禁止されています。
施術に使用する薬品や機器を「医薬品」「医療機器」と呼ぶことはできません。
また、医療行為を連想する「〇〇の症状が治る」というような表現も禁止されています。
整骨院や整体院も医療広告ガイドラインを知っておく必要がある?
整骨院や整体院は医療広告ガイドラインの対象ではないため、関係ないと思う方もいるかもしれません。
ですが
厚生労働省では、
なお、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告規制のあり方については、別途検討中です。
引用:医療広告ガイドラインに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000371826.pdf
との考えを示しており、「整体院の広告やホームページは医療広告ではないから、そのままでよい」とはならないと思われます。
医療広告ガイドラインの改正で、医療機関のウェブサイトの表現が規制されたように、整骨院や整体院のホームページなどにも今後規制が設けられる可能性が高いです。
医療広告ガイドラインで禁止されている表現は?
医療広告ガイドラインでは、以下のような表現が禁止です。
(ⅰ) 比較優良広告
(ⅱ) 誇大広告
(ⅲ) 公序良俗に反する内容の広告
(ⅳ) 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
(ⅴ) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告引用:医療広告ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf
整骨院や整体院も医療広告ガイドラインが適応されたらどうなる?
上記に加え、さらにダメになる表現を書いていきます。
比較優良広告NG
自院を他の医療機関などと比較し、優位性を強調することはできません。
他の病院や医療機関などと比較するのはアウトです。
「女優の〇〇も通うクリニック」「現役プロ野球選手が通うクリニック」など、著名人との関連性を強調する表現などもアウトです。
また、「日本一」「No.1」「最高」「地域ナンバーワン」「地域最大級」などの最上級を表す表記もダメです。
最上級を示す表記は、たとえ客観的事実であったとしてもダメです。
もし仮に、他院と比較する場合には
- 調査結果などの引用の出典
- 調査の実施主体
- 調査の範囲
- 実施時期
などの根拠を示し、客観的な実証が必要です。
ただし、明らかに誤認を招くような最上級を表す表現はいかなる場合でもダメです。
虚偽広告NG
実際とは異なる内容は広告できません、ということです。
実際より良くみせようと、事実を誇張した表現もアウトです。
誤認させた結果や、証明は必要とされず、“常識的に考えて「事実よりも良く表現している」と判断されれば、誇大広告として規制の対象になります。
たとえば「絶対安全なオペです!」などの表現はアウトです。
医学的に、「絶対安全」や「必ず治る」ということはありえません。
よって、虚偽広告に該当します。
また、ビフォーアフターの写真においても、加工や修正をしたものはアウトです。
品位を損ねる表現NG
医療行為の品位を損ねるような表現はできません。
- いまなら施術費用が50%オフ!
- キャンペーン実施中
- 初めての方は初診料無料
などの表現はダメです。
よってDRM型のオファーに当たる行為は、全てダメです。
誤認を招く表現NG
- 痛くない治療
- 痛みの少ない治療
- ソフトな治療
などは、歯医者さんなどでも、よく用いられる表現ですよね。
実は、医療広告ガイドラインでは、認められていません。
痛みがあるかどうか、ソフトかどうかは、患者さんによって結果や受け止め方や感想が異なります。
「痛みの少ない治療」(※患者さんによって異なります)などと表記した場合でも、わかりにくい表現として、認められません。
よって、施術の内容や効能効果も記載できません。
スタッフの経歴なども、最低限のもの(名前や出身校など)以外は、現時点ではダメのようです。
患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
患者さんの声、同業の先生の推薦文や業界の権威の推薦文、芸能人の推薦文、スポーツ選手の推薦文、医師の推薦文などが該当します。
患者さんの声、推薦文などを記載することはダメです。
ブログやSNSへの記載も該当します。
誰が違反を見つけるのか?
医療広告を監視しているのは、ネットパトロール事業者(厚生労働省の外部委託した業者)だけではありません。
実は、一般の方もバンバン違反を通報しています。
ネットパトロール事業者は一般の方からの「通報」も受け付けていて、通報を受けて審査をして違反の有無を決定しています。
つまり、医療広告は ネットパトロール事業者と 一般の方からの通報 によって監視され、違反の有無を審査されているのです。
厚生労働省が発表した平成29年度のネットパトロール事業の結果報告(2018年3月31日時点)
-
医療広告などの審査結果総数 603件
-
一般からの通報は 494件
-
事業者によるキーワード検索 109件
このうち、一般の方からの通報は494件です。
審査において、実は一般消費者からの「通報」が大きな割合を占めています。
一般消費者の間でも、医療広告ガイドラインの規制に関心が寄せられていることがうかがえます。
494件のうち、審査の結果、実際に不適切な記載があったウェブサイトは74件だったそうです。
このことから、「実際にガイドラインに違反しているかどうか」を一般の方が判断するのは難しいことがわかります。
厚生労働省が発表した平成30年4月~9月分のネットパトロール事業の結果報告(2018年9月30日時点)では、審査対象事案は1137件。
それ以前の平成29年8月~平成30年3月の8か月間の審査対象事案が678件でしたので、数か月で急激に増加しています。
今後も医療広告の監視と通報は活性化されていくことが予想されます。
参考:
平成29年度のネットパトロール事業の結果報告
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000209654.pdf
平成30年度(4月~9月)のネットパトロール事業報告https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000462043.pdf
通報の8割が整骨院や整体院?
一般の方からの通報において、通常の8割であり、「整骨院や整体院などの本来医療広告に該当しないもの」が含まれているとも言えます。
つまり通報をしているユーザーは、「整骨院や整体院の広告に掲載されている内容も厳しく監視している」とも言えます。
整骨院や整体院は、現時点では医療広告ガイドラインの規制対象ではありません。
しかし、最近の通報報告を見ると、広告を目にする消費者の目は非常に厳しくなっています。
医療広告ガイドラインの対象でないからといって不適切な表現をしてしまうと、信用をなくすだけでなく、処罰の対象になってしまいます。
整骨院や整体院の広告やウェブサイトの表現方法は、今一度見直す必要があると思います。
川崎 浩司
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